好熱性藍色細菌Thermosynechococcus elongatus BP-1の生物発光リズムとリズム周期の温度補償性

Thermosynechococcus elongatus BP-1の光合成系遺伝子psbA1のプロモーター(PpsbA1)の下流にXenorhabdus luminescens由来の耐熱性ルシフェラーゼ遺伝子セット(XlluxAB)を接続してPpsbA1::XlluxAB生物発光レポーター遺伝子カセットを作製し、相同組換えによってThermosynechococcus elongatus BP-1野生型のゲノムへ遺伝子移入しました。作製したPpsbA1::XlluxAB発光レポーター株に発光基質n-decanalを投与して、様々な温度条件下でpsbA1遺伝子発現リズムを生物発光リズムとしてリアルタイム測定しました。Thermosynechococcus elongatus BP-1は、至適生育温度が57℃の好熱菌ですが、30〜60℃という非常に広い温度範囲で明瞭な概日リズムを示し、そのリズム周期は温度の変化に対してほとんど影響を受けませんでした。すなわち、30℃もの広い温度範囲で概日リズムの周期が温度補償されているのです。一般的な化学反応や生化学反応では、温度が10℃変化すると反応速度が2〜3倍変化してしまいますが、概日リズムの周期は一定です。この周期の温度補償性は、藍色細菌からヒトに至るまで、生物時計を持つ全ての生物に普遍的な性質です。したがって、共通の分子メカニズムが存在していると考えられていますが、そのメカニズムは全く解明されていません。