名古屋大学遺伝子実験施設

共同利用

遺伝子実験施設共同利用について

 遺伝子実験施設の設立当初から、遺伝子の本体であるDNAの塩基配列を決定する作業は、本施設の研究の中心テーマ(植物葉緑体DNAの全塩基配列決定)であり、本施設は配列決定のために必要なDNA分子を操作する技術の向上や普及において重要な役割を果たしてきた。1990年代の中頃なると、DNA操作技術が広く一般に浸透し、DNA塩基配列決定方法は、ラジオアイソトープを用いた方法から蛍光試薬を用いた方法へと大きく転換して、1回の解析で決定できるDNA配列の長さや処理できるサンプルの数などが飛躍的に向上した。この変化に伴って、当時本施設に設置されていた多数のDNA塩基配列決定装置は時代遅れとなったため、蛍光色素を用いるシークエンサーであるABI373やABI377が導入され、施設利用者はラジオアイソトープの使用から開放されて比較的安全にシークエンス作業が行えるようになった。

 1995年頃、ポリヌクレオチドを分離する高分子ポリマーの支持体として、ゲル板ではなくてキャピラリーを使用する新しいタイプのシークエンサーが開発され普及し始めた。キャピラリーを使用するタイプは、1)ゲル板を作製する煩雑さがなく、2)再現性の高い条件で泳動でき、3)使用するサンプル量が少なく、4)1回のシークエンスに要する時間が短いという利点があった。この装置は、ゲノム解析という時流にのって瞬く間に普及した。しかしながら、このタイプのシークエンサー(ABI3100)が本施設に導入されたのは、2002年のことであった。現在、ABI3500xLを2台使用して、1日に最高288サンプル(Phred値が20以上のデータが約600塩基以上得られる)の処理を行っている。

 利用者がネットワークを使って、簡単に予約し、シークエンスの結果を取り出せるファイルサーバーシステムを開発・運用したことによって、利用者の利便性は飛躍的に向上した。

 平成21年からは、Big-Dyeのシーケンス反応からのサービスも開始し、技術的な話を中心にした講習会を開催することで、共同利用ユーザーは増えて続けている。また、平成22年度に、次世代型のシーケンサーSOLiD3Plusを導入する事ができた。この次世代シーケンサーは、1回のランで400Gb程度のデータを産出することができる。その後、SOLiD5500wにバージョンアップして150Gbのデータ量にまで増加し、バーコードを利用して多くのユーザーが同時に比較的低コストでシーケンスデータが得られ、さらに計算機サーバークラスターを用いた解析段階のサービスも提供して、名古屋大学生命科学研究の推進に貢献している。現在は最新の次世代シーケンサーNextSeq550が稼働中である。

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